自分のアーティスト活動のためではなく所謂「商業作家」と言われる活動をしている僕のような人は、基本的に自分以外の人(アーティストさん)のために曲を書くわけですが、時に、まるでその人になったかの様に書かないといけません。
これからデビューする場合や、デビュー間もないならまだしも、ある程度活動地盤も固まり、イメージが出来ているアーティストだと、発注があってから「下調べ」程度では間に合わないので、常日ごろからいろんなグループやアーティストをチェックしておく事はとても大事だと思います。(と言っても難しいですが、、)。そういう意味では、楽曲に対しての「タイアップ」や「コンセプト」がはっきりしている発注や提案の場合はやや勝算が上がります。タイアップの場合はアーティスト自身もそのタイアップやコンセプトの内容に寄せないといけないので、立場としてフラットに近くなるからです。(笑)
今回はその「コンセプト」をはっきり決めた曲を作ろうと思ったのですが、それもそれでみつからない・・・。
自分の人生経験や恋愛経験なんて人のために書く楽曲になんの効力もないし。(笑)
「自分の強みは何だろう…」と考えた結果、「音楽の歴史」を曲にしてみる事にしました。
僕がまだミュージシャンになる前、何でも調べたがりの性格で、とにかくポピュラー史を遡って調べまくっていた時期がありました。
結局リアルタイムで経験していないので、各ジャンルの精神まではわからず知識としてしか残らなかったのですが、やはり「〇〇のジャンルといえばこの音、この楽器でしょ」みたいに理論武装できるようになったのは、商業作家としては強みであると感じています。普通だと曲にはならないような内容でも、これまでの人生で蓄積してきた知識量が確固たるものだと、何とかまとまるもので、かなり大変な作業でしたが、テキトーにそれっぽく作ったのではなく「中身のある」1曲を産み出すことができたと自負しています。
楽曲制作に限らずですが、自分が経験してきたことや、子供の頃好きだったもの、こんなの意味あるのかよ!って事も、後々の人生で必ず活きてくる事があるんですね。
今後も、もし行き詰まった時は、過去の自分にアドバイスを求めようと思った制作記録でした。