アレンジャーの日常~導入編~
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制作感想
作曲
立て込んでいる時は得意技で攻める
夏過ぎくらいから、先方様より似た様な参考曲を何度か指定されたり、自分で参考曲集めをしている時に雰囲気の似ている事が多かったので、「どうしても前回、前々回書いた曲に似てしまう」という事態に陥っていました。 また、スケジュールが立て込んでいるときは、楽曲を煮詰めていったり、新しい要素や研究成果を反映する事もなかなか難しく、結果中途半端な楽曲になってしまったり提出すらままならなくなってしまう事があります。そうなれば先方様はじめ、スケジュール確保して頂いていた作詞家さんや仮歌さんに迷惑をかけることになり信頼を失い・・・の悪循環になってしまいますよね。 そうなってしまわないように、自分の「得...
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制作感想
作曲
好きな分野は得意分野
今回は大手所属ながら地方に活動拠点を置く男性グループの発注でした。 まず普段から男性グループを見据えたストックは多いので、そこから発注タイプに沿う曲をチョイスしましたが、結局大幅にリメイクしました。ピントは合わせやすく、スムーズに作業は進められました。 提出後、あまり集まらなかったタイプの曲の再発注があり、締め切りもやや短いながらも書き下ろしをすることにして、急いで作業に取り掛かりました。今回の参考曲になっている曲はコミカルソングで、この曲は元々好きでよく聴いていたのですが、いかんせんそのまま似た曲を書いてしまうと良くないので、自分なりに近しい曲や混ぜたら面白そうな要素がある曲をプレイ...
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制作感想
作曲
初採用の想ひ出
まずはじめに、楽曲というものはリリースされた時から作家の手を離れ、パフォーマンスをするアーティストとリスナーで作られる「世界」になると考えています。裏方である作家はあくまで裏方、その影が見えない楽曲、つまり「世界」が理想だと私は思っています。これから裏話を綴っていくわけですが、その「世界」を壊さぬよう、慎重に進めていきたいと思います。 はじめは、私の初採用の時のお話になります。別のお仕事でお付き合いしていた現事務所の社長から、楽曲コンペのお誘いを頂いたのが始まりでした。当時私は、女性ボーカルとユニットを組んでおり、そこで作っていた楽曲ジャンルに近い案件を選び参加することを決めました。「採...
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制作感想
作曲
ストーリーを組み立てろ!
私は、今回一曲を作り上げるまでに、何度も同じ過ちを繰り返してしまいました。 最初に指摘されたのは、サビの後半がすっきり終わりすぎると言われたのですが、後半のメロとフレーズを少し変えただけで、直したつもりになり提出してしいました。そこで言われたのが、サビも「ストーリーを組み立てて考えろ」とのことでした。私は、言われたことをただそのままやっているだけの状態で作業していた為、合格が出るはずもなく、結局は直接小節数を伸ばせと言われるまで気づけませんでした。 ここで分かったのは、自分が今まで個人的にやってきた作曲とは、まるでレベルが違うのだということです。「ただやればいい」「出来るから良い」とい...
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制作感想
作曲
作曲の大変さを思い知る
今回参加させていただいたコンペは、女性シンガーのカップリング曲でした。これが初めてのコンペ参加になります。まず参加して感じたことは、私自身の圧倒的経験値の足りなさ。依頼書のリファレンス曲(=参考曲)を聴いて、この曲に寄せて作ればいいのだなと思い、まず1曲目を作ったのですがダメでした。そもそもリファレンス曲が良くないと指摘され、依頼書に書いてある内容を真に受けてただ制作するだけでは、まるで意味がないことを学びました。 その後、すぐに次の曲を作ったのですが、これもダメでした。自分の中では自信があったのですが、全然ダメだと言われて落ち込みました。ただ、これは自分の"好きな曲"という形だけで作っ...
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作曲
今まで、そしてこれから
今回参加させていただいた案件は、女性シンガーソングライターのドラマ主題歌でした。 ドラマの主題歌は今の私にはまだ敷居が高い…でもこの雰囲気…これまでの私の作風に近いかも!やれるかも…やろう!その思いで参加を決めましたが、最初の直感通り高い山でした。 詳しい作品名などは未発表でしたが、依頼内容からイメージを膨らませて、イントロ-Aメロ-Bメロを比較的スムーズに作りました。 「サビはスケールが大きすぎないように」とのことでしたので、最初は加減しながらメロディーを選んで…。 メロチェック、、サビが弱い。 自分の力量では思いっきりやっても丁度ぐらいになるのかも、今度こそは!と、又何度もあ...
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制作感想
作曲
“強い”メロが書けない
前回提出したアーティストの再発注の案件であった。案件の用途も前回同一のものである感じだったので、なんとなく「あ、前の募集でピントの合う曲が来なかったんだろうな」なんてぼんやり考えつつ、もう一度提出を目指すことに。今回は、いくつかリファレンス(※参考曲)のタイプ分けがあった中で、成り行きでスタンダードナンバーのバラードの案件を引き受けることに。しかしこれが難航し、結果的にまるごと3曲別の曲を作るハメになってしまった。 正直、最終的にも「なんとかそれっぽいのを提出はした」という感じで、良いのかどうかはさっぱりわからない曲が出来てしまった。こんな曲に、仮歌代を赤字切って睡眠まで削りながら修正対...
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制作感想
作曲
夢と現実の狭間で
今回参加させていただいた案件は、「ファンと一緒に歌える楽曲」とのことでした。今思えば、絶対に何が何でもコレを書きたい!その気持ちだけでから回りしてしまったように思います。 遡ること…6歳の時に作曲らしきことを始めました。その後自分が歌うためだけに作詞作曲演奏するスタイルで活動もしましたが、この春頃から職業作曲家に興味を持ちました。無謀とも気付かないままに。がしかし、扉が開いた瞬間、私にとって只事ではないレベルなのは充分に理解できました。そしてド新人の私の目の前に、たまたま現れた夢のような案件。5日間もがいて夢見て、儚く散っていきました。今まで努力した分以上には実らない現実を思い知った瞬間...
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制作感想
作曲
リファレンスらしさ
今回の案件は、「バンドとエレクトロの融合」がテーマだった。リファレンス(=参考曲)として指定されていた楽曲は普段あまり聴かないタイプのものであったが、バンドとEDMらしさの融合そのものは昨今色々耳にしていたこともあり、安易な気持ちで参加表明した。「全面ディストーションサウンドを求めているわけではない」というような表現もあり、クリーントーンのカッティングから始まるハーフタイムシャッフルのビートで、ややファンク気味なアプローチでバンドサウンドを制作していった。 しかし、1度目に提出した後に受けた指摘が、「リファレンスらしさが足りない」ということであった。正直なところ、リファレンスとは別の角度...
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制作感想
作曲
作曲イメージとEQ初歩編
今回のコンペは、アニメ劇中に使用されるアイドルソングでした。テーマとしてはライブで激盛り上がる曲。特定のリファレンス(※参考曲のこと)は特にない案件でしたので、僕はリズムリファレンスのみを決めて作業に入りました。結果としては、このリファレンンスを決める作業、と言うものをもっと完成のイメージを持って、別のリファレンスも探すべきでした。 作業中に頂いたアドバイスとしては、リファレンスは3つほど立てると良いということ。 今回終わってみて、改めて振り返ってみるとリファレンスを3つ立てると言う事の大切さを理解できる作業内容でした。次回からはリズムリファレンス、音色リファレンス、楽曲リファレンスな...
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制作感想
作曲
人に合わせることの難しさ
事務所から情報を頂いて、他者のニーズに即した曲を制作するということに初めて取り組んだ。ほぼ完成品レベルの曲を仮歌含めて1週間で作るというのは正直かなり過酷で、睡眠時間を削りまくって制作を進めた。その中でも、初稿を送った際に、「シンコペが多すぎる」という指摘を受けたことはすごく学べた部分が大きかったように思う。それが良いのか悪いのかはよくわからないが、楽曲コンペだと一般の人の覚えやすさ、歌い手の歌いやすさのためにも、狭い音域でわかりやすいメロディを作ることが求められるのだと感じたのは大きな収穫であった。 しかし、もっとも苦労したのは「良い曲を作ること」以上に、事務所側との感覚のすり合わせの...
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ノウハウ
新人作家さんの最初の試練!?
トライアルを始めた作家さんにとって、何と言っても最初のハードルは、いきなり始まる実依頼への対応力ということになります。今までペースもクオリティも自分自身で自由に(楽に?)組み立てていたのが、急にリアルな依頼概要に沿って制作していくというのは、ぬるま湯で生活していた時とは一変して、想定外の激アツ熱湯風呂に入る様な「これがプロの温度か!」と感じるのではないでしょうか?そして徐々に、指定の音域内でメロを作るのがとてつもなく高いハードルに思えてしまい、応募時はキャッチーなメロディ制作に自信があった筈なのに、徐々に迫ってくる〆切に焦っていくのです。 何とか作業を進めて、ようやく1番のメロディが出来...
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制作感想
インスト
ドレミだけで楽曲を作る必要無し!
劇伴作家としてBGMの発注を受ける時、大体は発注書の文章をもとにイチから音楽を作っていくのだが、今回は最初に映像があってそこに音楽を付けていく発注内容だった。 映像先で音楽を付けていく場合、個人的にやりやすい場合とやりにくい場合がある(あくまで作曲がやりやすい、やりにくいであり、良い映像、悪い映像という意味ではありません)。前者は「映像の内容がはっきりしており、そのシーンを説明する音楽」が求められる場合だ。これは映像そのものがピアノスケッチと言ってもいいくらい、最初から設計図が出来ているのでとても簡単。後者は「映像が抽象的で、世界観や雰囲気の補助としての音楽」が求められる場合だ。これは作曲の...
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制作感想
作曲
発注の本質
今回制作する際に、依頼の内容は邦楽の有名なファンタジー系バンドの雰囲気がありつつ、戦うイメージも兼ねたコンセプトがありました。しかし、その参考曲の雰囲気を残しながらバトルの雰囲気を少しつけるというのは、未知の挑戦にしてかなり難題なものでした。チェックを通してどうしても明るくなりすぎてしまったりと、発注の本質を汲み取るということができなかった依頼でした。なんとかそれ相応なものはできましたが、最初の提出が遅れた影響もあり、ギリギリな作業になってしまい、今回の制作は苦痛が続く戦いでもありました。 結果としては決勝までは行ったものの最後に敗れてしまいました。提出の条件はシンセメロでも問題はありま...
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制作感想
作曲
作曲中の問題とこれからの反省点
女性新人アーティストへのコンペ参加しましたので、感想を書きたいと思います。 提供アーティストは、10代の歌の上手で声が綺麗系のタイプ、アーティストのイメージ的には、思春期特有の闇感のあるアーティストでした。レコード会社の希望の楽曲は、洋楽テイストのパワー系のメロディを押した楽曲。 今回のコンペは、自分としてはレコード会社希望の洋楽のパワー感とアーティストが持つ綺麗系の声とのバランスを曲中でいかにとるのかが肝になる内容・・・というのが、コンペシートを見たときの第一印象でした。そしてこの印象は見事に的中しました。1回目のメロチェックでは、かなりパワー系のメロディで提出しましたが、やはりアー...
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制作感想
作曲
普段からの人間関係が結果に繋がる
今回の制作はK-POPグループのメンバーが主演の舞台で、キャストが歌唱する楽曲と劇伴の一部の制作でした。曲数は8曲ですが、発注の時点で納期まで2週間を切っている状態でしたので、かなり急な案件なのと、諸々の都合上で作詞、作曲、編曲を全て一人でこなすということで追い詰められましたが、ピンチに燃える性質がある分、何としてでもやってのけようという気持ちで取り掛かりました。ギタリストの仕事もちょうど落ち着いていた分、スケジュールの工面もやりやすかったのでラッキーでした。 楽曲ジャンルは、洋楽に寄せつつメロはしっかりする、所謂K-POPなアプローチの曲が中心で、その他、各シーンに合わせたミュージカル...
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ノウハウ
音域は絶対条件ではないけど・・・
今回は、普段メロチェックしていて、新人作家とのやりとりを書こうと思います。依頼書で音域が書いてある時に、声優さんや新人歌手、フォーメーションが複雑なアイドルには、音域厳守が優先順位で高めと言えます。ただ中堅のアーティストなどには、敢えて歌いやすいファルセットを提案したり、半音オーバーしてもメロを優先させるかどうかは、直近の作品や様々な状況を鑑みた上で提案しても良いと考えてます。逆に年配の歌手だと、音域に少し余裕を持たせて提案した方が良いと思ってます。更にシングルだと、ライブで後半連続して歌う可能性があるので躊躇しますが、アルバムやc/wだと検討の余地もあると思ってます。従って音域が記述していて...
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制作感想
作曲
リサーチ不足は命取り
今回の記事は、経済規模の大きいアイドルグループへのコンペに新人作家がチャレンジしてやってしまった事を書き残したいと思います。状況としては、憧れのプロの現場に意気揚々と参加して相手の能力の高さも調べないで1ラウンドTKOをもらった感じです。提供アーティストへの知識は名前は知っているが、表題曲位しか軽く知っていない程度。リファレンス曲は、今まで一度も作ったことがないビックバンド感のあるロカビリーポップス。そして、そこにきて自身の完全なリサーチ不足での挑戦。今思えば標高7000m級の山にTシャツとサンダルで挑戦、当然の様に失敗して救助ヘリを呼ぶヤバイ奴です。 当然のことながら、やはり戦う前には...
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制作感想
作曲
忙しい中でのクオリティ維持
今回はゲーム収録楽曲の案件で、バンドの方向性はスカロック。自分の世代的にスカバンドは流行っていたので、曲の感覚は体に入っている分、取り掛かるのに腰は重くなかったです。 普段は下調べや準備などでまとまった時間が必要なので、最初の一歩のハードルが高かったりしますが、その時間が必要無い分すぐに組み立てに入ることができました。ただ、今回に関してはバンドにとって変わり種曲で、クラシック曲のモチーフを入れるという指定があり、自分の中の作曲の定型文に当てはめて制作できないので、ここで躓く事になりました。さらに、普段並行しているギタリストの仕事で、RECやツアーのリハーサルががっつり入っていたので、締め...
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制作感想
作曲
ネガティブキャンペーン
コンペに提出する際は、楽曲そのもののクオリティーは勿論ですが、エンジニアとしての技術や知識もある程度必要になります。その壁は想像以上に分厚く、突破できなければ「やっていけない」と断言しても過言では無いでしょう。サウンドがまとまらないことには提出すらできない。やっと提出に漕ぎ着けても、少しでも「?」と思われてしまえば、結果として評価されない自身のネガティブキャンペーンになってしまいます。 上記は一例ですが、こういった恐怖と隣り合わせで戦い続けることが作家活動の1stステージなのだと思います。けれど、そこで屈してしまえばそれでおしまい。あなたの代わりはどこにでも居ます。そういう世界です。誰に...
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制作感想
作曲
コライト体験談
大先輩クリエイターの協力を得て楽曲制作した際の話です。 原案を提出し、歌詞はこのままでメロと楽曲の方向性は全く変えよう!からスタートした初めてのコライト。楽曲依頼書は一つでも、受け取り方は十人十色であることに面白みを感じた瞬間でした。また、制作過程において自身の専門知識の乏しさは常に付きまとい、作家として自己満足で終わらない為にはまだまだ勉強しなければいけないな、と兎に角痛感しましたね(苦笑)。今回のケースは暖かくサポートしてくださる方と組めたことが本当にラッキーだったのだと思います。 コライトではより深い専門知識を得られただけではなく、自身の足りない点が明瞭になることによって直近の目...
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制作感想
作曲
継続のモチベーション
今回は、10年以上第一線で活躍する有名女性アーティストの参加したコンペについて、お話させて頂こうと思うのですが、その前に、楽曲コンペについて少し触れたいと思います。 ご存知の方も多いかもしれませんが、楽曲コンペと言うのは平たく言えば楽曲のオーディションのようなものです。今のコンペの殆どのケースで、作曲者は作曲そのものだけでなく、提出には曲の完成図がイメージ出来そうなデモ音源を作る必要がある為ある程度のアレンジからミックスまで行い、また、仮歌の方に謝礼を払って歌入れを依頼します。このようにコンペに参加する作曲者には、ある程度の労力と負担が必要とされます。しかしながら、そのコンペで採用されな...
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