グローブ・エンターブレインズで初コンペ
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制作感想
インスト
楽器で弾くメロは「味」が大事
歌モノの楽曲を、インストBGM(今回はギター)に編曲した時のお話です。 元々インスト演奏を前提とした楽曲の場合、旋律自体が楽器向けに作られているので、しっかり楽曲や譜面を再現することが大事なのですが、今回のように元々歌用のメロディを楽器で再現する場合、苦労する部分がこの「味」付けの部分です。 歌メロは基本的に、歌に合った歌いやすいようなメロ割になっているので、それを楽器で淡々と弾くと、どうもスーパーの特売所のJ-popのインストBGM(それはそれで好きですが)のようなサウンドになりがちです。 なぜそうなるか考えた事があったのですが、そもそも「声」というのはどんな楽器よりも、最も「味」...
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インスト
やっぱりプロはプロの環境!?
僕は、昔から先輩ミュージシャンや一部の先生に言われて、信じていた言葉があって 1.「楽器なんか沢山持たずにコレという1本で勝負しろ」 2.「どんな機材でも自分の音を出せ」 3.「実力さえあれば安い機材でも大丈夫」 4.「身の丈にあった物を選べ」 etc… ここ最近、編曲のお仕事も板に着くようになってきて、コンペも提出まで余裕を持って組み立てる事ができるようになってきました。 そこで気付いたのですが、元々信じていた↑の言葉が全部覆って行きました。 1.「楽器なんか沢山持たずにコレという1本で勝負しろ」 コレという1本は必要ですが、僕らみたいな作家は例えば「最近のJ-...
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作曲
困った時は悩まずお金で解決!?
例えば、普段使わない楽器を入れるような制作のオーダーがあった際、元々DAWに入っているシンセで一旦間に合わせますが、その楽器がメインで鳴るような楽曲だと、どうしても噓っぽくなってしまうというか、楽曲自体の質が低下してしまいがちです。 こういう時、その楽器に対してEQやベロシティをいじったり、コンプを見直したり・・・、気づけばそれを永久ループしていて何も解決していない事ってよくあると思います。そういう時にオススメなのは「つべこべ言わずにお金を使え」です。笑 というかそうしないと解決しません。薄情な世の中ですよね。以前、事務所の先輩に「どうしたらもっと良い曲やアレンジができるようになります...
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インスト
先手必勝のつもりが空振り!?
9月は作業や提出に対してテーマを決めていて、「とにかく早く出す」という事でした。以前は締め切りギリギリまで粘ってちょっと過ぎる、みたいな感じでしたが(笑) どのみち、ギリギリまで粘ったとしてもその時間で期待以上の成果が出るわけではないので、いっその事一番乗りで締め切り前に提出して先方に決めてもらおうという、ちょっとズルい作戦に出ました。今回は、週半ばの発注で、締め切り自体は日曜だったのですが、できれば週末には試聴されたいとの事だったので、「よし、一晩で上げてやろう!」と息荒げに作業を開始しました。 内容的にも、僕が得意なクラシックギターのソロパートを挿入するとの事で、マイクセッティ...
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インスト
コライトチャレンジ(失敗編)
他のクリエイターやアーティストと共作した際の記事はシリーズ化していますが、今回は失敗例を紹介します。前回までの記事は以下です。 コライトチャレンジ(Rap編) https://music-comments.com/impression/2465/ コライトチャレンジ(ドロップ、オケサビ編) https://music-comments.com/impression/2722/ コライトのメリットと言いますと、やはり自分にはないアイディアやテクニックが手に入るという事が大きく、人と一緒に制作する事により常にお互いの意見を出しながら進められるので、一人で悩んでいるよりはるかに早く...
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インスト
隙間産業のつもりがすり抜けて行ってしまった例
男性アイドルグループの、ライブ中の一部分で使用される楽曲のプレゼンの時のお話です。今回のようなインスト案件の際は、色々な都合で(割愛)、デモ+本アレンジという段階を踏まずに、いきなり完パケ前提で制作します。 僕は普段から、デモの段階で本アレンジもそのまま使えるくらいの意気込み(あくまで意気込みですw)で制作していますが、流石に1音1音まで何時間もかけて精査することはありません(その分メロディや歌詞に時間を割きたいからです。) ただ、プレゼンやコンペとしては手順は同じなので、最初から詰めながら作ることは、制作カロリーとしては結構重いです。まだまだ編曲力が強くない僕ですから、他の作家さんに...
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インスト
初トライアルで得た「聴き方」
今回、グローブエンターブレインズのトライアルで初挑戦させて頂きました。楽曲は、若い子たちのライブ最初を飾るOverture。それにふさわしい、若さと希望にあふれた曲にできればとポジティブな取っ掛かりから制作を始めましたが、いざ書き進めてみると、締切にひやひやしつつの防戦一方。自分ではそこそこ自信があった筈のオーケストラ系ですが、同時に、自分が今後まだまだ学ばなきゃいけない課題も明確に実感したトライアルとなりました。 一番強く感じたのが、「エンジニアリング的な視点の重要性」です。無論、楽曲のメロやコード構成が、採用に当たり重要な位置を占めているのは言うまでもありませんが、特にインスト作家と...
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インスト
濃い音楽・薄い音楽
劇伴を制作してる時によく陥ってしまうのが、短い時間の中にアイデアや曲想を詰め込みすぎてしまい、肝心の映像に勝ってしまうという現象です。自分は音を足し算していくタイプの作家であることと、普段の発注で豪華絢爛なライブBGMを作ることが多いので職業病的に少ない時間に色んな音楽要素を入れてしまうのですが、これが音楽が映像に勝ってしまう原因になるんですよね。 今回はドキュメンタリー系BGMのデモを作っていたのですが、どれだけオーケストレーションを薄くしても映像に勝ってしまい「どうしてだろう?」といろいろ考えていたのですが、いくつか参考曲を研究して原因がわかりました。(あくまで今回の場合ですが・・・...
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インスト
サウンドロゴ的発想
コンペや制作の発注書やメールを見ていて「あぁ〜、これ、やりたいなぁ〜。」「俺だったらこんな感じで作るかな〜」なんて想像しているうちに締め切りが過ぎていた。・・・なんて事はよくあるのですが(笑) まさに今回そのパターンで、「うっわぁ〜〜、俺ならこんな音色でこんなリフでイメージしてたのになぁ。絶対俺が出してたら通ってたわ。うん。そう、きっと。」などと、ある事ない事チャレンジもせず妄想していたわけですが、時すでに遅し。切り替えてまた違う案件チャレンジしよう〜!なんて思ってたのですが、まさかの再発注の案内が来ました。「絶対俺が出してたら通ってたわ」っていうのは若干撤回したい気持ちを抑えつつ、イメ...
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インスト
生録音の化学反応
昨年やらせていただいた長期間に渡るゲームのプロジェクトですが、様々な学びや気付きがありました。 そんな中、制作の中で最も記憶に残ったのは何か?と考えると、やはり大型の弦楽器と管楽器を生で録音させてもらえたことです。 それまでは、バイオリンやギターなどの単独楽器を生演奏に差し替えることはあったのですが、もっと大きな編成でまるっと生演奏を取るのは自分にとっては初めての経験だったので、レコーディングの日まで「果たしてうまくいくだろうか?」「どんな音で録れるだろうか?」とワクワクとドキドキが入り交じる心理状態で過ごしていました。 さて、レコーディング日が決まると、生録音に向けての準備をしなけ...
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インスト
制作中に考えていたこと
2019年12月、累計で1年5ヶ月ほど時間をかけたゲームのプロジェクトが完パケしました。 曲数で言うと、短いものから長いものも含めて50曲以上制作させて頂いたので、納品したwavのファイル数で言うとデモや没トラックも含めて100を超えるかもしれません。自分にとっても、このような大規模なプロジェクトに参加したのは初めてのことでしたが、制作にあたって感じたことや思い出を何回かに分けて書いていこうと思います。今回は第1回ということで、ピンポイントな内容でなく、基本的な流れとどんなことを考えて作業していたかをざっくりと書きたいと思います。 さて、今回のプロジェクトは大変ありがたいことに、非常に...
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インスト
短期決戦は楽しく!そしてシンセを買うことについて
一年のうち何回か極端に締め切りまでが短い案件があるんですが、今年もそれがやってきました! そういう案件の場合、超短期決戦なので肉体的には辛いものがあります。しかし、その分自分次第でその案件が成立するかしないのかが決まるので、使命感がいつも以上に高まり、やる気スイッチがかなり深く入るので精神的には結構楽しくやれています。 私は、普段から直近で使う計画が無くても「便利そうだな」と思ったソフトシンセはどんどん購入しています。 購入の際には、すぐに制作で使える「Ready to goな音源かどうか」が「音が良いかどうか」と同じくらい非常に大きな判断基準になっていますが、それはこういう短期決戦...
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制作感想
インスト
ドレミだけで楽曲を作る必要無し!
劇伴作家としてBGMの発注を受ける時、大体は発注書の文章をもとにイチから音楽を作っていくのだが、今回は最初に映像があってそこに音楽を付けていく発注内容だった。 映像先で音楽を付けていく場合、個人的にやりやすい場合とやりにくい場合がある(あくまで作曲がやりやすい、やりにくいであり、良い映像、悪い映像という意味ではありません)。前者は「映像の内容がはっきりしており、そのシーンを説明する音楽」が求められる場合だ。これは映像そのものがピアノスケッチと言ってもいいくらい、最初から設計図が出来ているのでとても簡単。後者は「映像が抽象的で、世界観や雰囲気の補助としての音楽」が求められる場合だ。これは作曲の...
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