クリエイターの悶絶生活編集部

制作中に考えていたこと

Professional audio mixing console with faders and adjusting knobs - radio / TV broadcasting

2019年12月、累計で1年5ヶ月ほど時間をかけたゲームのプロジェクトが完パケしました。
曲数で言うと、短いものから長いものも含めて50曲以上制作させて頂いたので、納品したwavのファイル数で言うとデモや没トラックも含めて100を超えるかもしれません。自分にとっても、このような大規模なプロジェクトに参加したのは初めてのことでしたが、制作にあたって感じたことや思い出を何回かに分けて書いていこうと思います。今回は第1回ということで、ピンポイントな内容でなく、基本的な流れとどんなことを考えて作業していたかをざっくりと書きたいと思います。

さて、今回のプロジェクトは大変ありがたいことに、非常にこちらの自由度が高い制作をさせていただきました。
ゲームの場合、通常だとクライアント様が具体的に提示してくれる指示(曲の内容や尺など)に従い作っていくことが多いのですが、今回は一連の参考用の動画と基本のタタキとなる原曲をいただき、それをもとに一連のシークエンスを自分でアレンジ・デザインすることが出来ました。
劇伴の発注は、基本的に尺や曲の雰囲気などが決まった後に来る分、普通に作ると守りに入ったようなフツーな楽曲になりがちなので、出来るだけ発注書に従いつつも「こんなのどうでしょう?」という感じでクライアントさんの想像を少し超えるようなものを提出するのが大事かなと思っています。もちろん、自分の我を通しすぎて楽曲が映像とミスマッチを起こしては本末転倒なので、クライアントさんの要望に沿いつつ、ちょっと新鮮に感じるような工夫のバランスをうまく取ることを心がけています。(でもそれが一番難しい!)

ゲームの音楽設計や音楽演出などは自分が普段から研究しているテーマでもあるので、非常に楽しい挑戦となりましたが、やはり実際にやってみると一筋縄で行かなかった部分も多かったです。詳しい内容は割愛しますが、ゲームならではのBGM遷移に関することや、編曲の場合は原曲の素晴らしさをどのように活かしたまま現在にリファインするか?ということで、問題点にぶち当たることがちらほらありました。ただ色々な試行錯誤をして、少しずつ解決策のパターンを見つけていく作業はまさにゲームみたいだなと思いましたし、音楽制作のプリプロの期間もいただけたので、最初の方で作った曲を後から思いついた解決策で手直しすることも出来たのでとてもラッキーでした。

さて、今回はプロジェクトの基本的な流れと心がけについてざっくりと書きましたが、次回からはもう少し細かいエピソードに絞って書いていこうと思います。お楽しみに!