クリエイターの悶絶生活編集部

コライトチャレンジ(ドロップ、オケサビ編)

Cropped image of composer playing guitar and taking notes

所謂「オケサビ」とか「ドロップ」と呼ぶのでしょうか。ダンス系楽曲ではサビの部分に歌がなく、インストで盛り上げる形式の曲がJ-POPの市場でも一般的になりました。今回は、普段とは違う工程で制作をしたので、その時の感想を書きます。

普段「メロ」「歌詞」「オケ(編曲)」をきっちり分けた歌モノの制作に慣れていると、このオケサビ形式の曲を作るのは結構難しくなります。なぜかというと、たとえばメロだけでは表現しきれない「息遣い」やトラックの仕上がり具合、使用する言葉や細かいキー設定など、すべての要素が上手く噛み合わないと、完成系のバランスが見えないからです。「この曲は歌詞がよくないから歌詞だけ替えよう」「女性用曲だけど男性用にキーを替えよう」みたいな事がやりづらいわけです。

ところで、クラブで活動しているラッパーやR&B歌手の方の多くは、既に完成されたトラックに、自分だけのリリックやメロを載せて作ることがあるので、曲名が違うのに同じバックと展開、ということが良くあります(思いつきの例ですが、ジェニファーロペスのGet Rightと、アッシャーのRide)
つまり「商業的な曲」というよりは、その「アーティストのオリジナル作品」という感じに近いと思うのですが、話を戻して、今回は発注内容的に仕事として人のトラックを使うわけにはいかないので(笑)、仮歌を録ってもらうシンガーに全面的に協力してもらい以下のような工程で制作しました。

[私]トラックのラフを送る→
[歌手]仮メロをつけてもらい録音→
[私]そこから更にブラッシュアップ、歌詞イメージ合わせて伝えながら編集
↑ここまでを何度か繰り返す↓
[歌手]最終版メロ、歌詞と色々な声素材を録音→
[私]仕上げ

という感じで、何度もやり取りしながら制作しました。貰った声素材からパーカッションのように編集して使用したり、エフェクトも多様し、替えのききづらい「オーダーメイド」な曲が仕上がりました。この「替えのききづらい」曲の発注は商業作家には機会が少ないと思うので、とても楽しく制作できたのと、汎用性の効く曲でもアーティスティックな要素はもっと取り入れないと、巷に溢れる曲たちとの差はつかないと感じました。