案件ごとによく作家さんにメロ修正を相談する事がありますが、大抵「無難すぎる」のが理由として多い気がします。メロが軽く感じるのと、説得力あるメロの違いって、どこから来るのでしょうか?
これは、以前ある作家さんとのやりとりなんですが、その作品はサビが非常にキャッチーなのに、Bメロが音を置きに行っている気がしたので修正をお願いした所、いつもなら筆の早い作家さんが2日音沙汰なしに。そこで様子伺いしてみたら、その作家さんは言い放ちました。「Bメロなんていくらでも出てくるんですよ。ただ、いくらでも出てくるメロディに正解はない気がして。もうバージョンも20超えているんですが(泣)」
現状のVerと、いくつか遡って聴かせて頂きましたが、どれもメロやコードは勿論、アプローチ自体を工夫してなるほどと思わせる作業状況でしたが、どれもコレだ!感には行き着いていない印象でした。現在のベストを尽くすだけの戦い方ではなく、あくまで目指す頂上に十分かどうか、自分の満足感と戦っている様な作家さんなんです。こういう作家さんは、時々メロがズバ抜けて神がかっている時があって、メロの説得力が明らかに違います。そして、提出までのverが50前後になることも珍しくありません。メーカー担当者からの修正も合わせると、最大90になったこともありました。そこまで戦っている作家さんでも、決して採用率が高い訳ではないのがこの業界の泣き所でもありますが、少なくても事務所としては、本物のプロの作家としてずっとご一緒したいと思える作家さんなのです。
時に苦痛というか、壮絶な戦いを重ねた作家さんが到達する「スゴ味のある作品」は印象深く、死後70年著作物としての価値になって欲しいと営業する事も多いので、何とかいい形で陽の目をみる所まで努力したいと思ってます。