アレンジャーの日常/実作業編1 | クリエイターの悶絶生活編集部

アレンジャーの日常〜実作業編01〜

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歌手イメージ :
/ 女性シンガーソングライター
制作ジャンル :
/ ロック
発売条件 :
/ ドラマ主題歌
工程 :
/ アレンジについて

さあ、いよいよアレンジの実作業に入ります。
アレンジをする際の心得として、気をつけているポイントが二つあります。
 01.作者の表現しようとしている世界をいかに膨らませるか。
 02.自分の色(アレンジャーとしての個性)をいかにして組み込むか。

1に関しましては、映画の演出のように、作者の表現しようとしている10を100や1000に、音色や展開でどれだけ膨らませるか、という勝負になります。
そして、意外と大事なのは2。せっかく他のアレンジャーではなく、自分に任せて頂いたのですから、自分にしかできない何かを残すことはとても大事なことだと思っています。これらを心に留めておきつつ、いよいよ実作業に入ります。

まず最初にやる作業が「解体」と「分析」です。作家デモを何回も聴きつつ、メロディーとコードを一度解体し、それぞれを細かく分析します。この時点で、作家さんが何にこだわって、何を表現したいか、というものがぼんやりと見えてきます。(※あくまでもぼんやりです。)
そして、ここで裸にしたメロディーを元に、スケッチを2枚描いていきます。そうなんです、2枚。今回の記事、2が好きですね。

まず1枚目は、歌詞を元にしたスケッチ。これはそのままでして、この時点で歌詞ができている場合、その世界を元に、使用音色や展開、リズム、などを大まかに決めていきます。どちらかというと映画の演出に近い作業かと思います。

もう1枚のスケッチ、これは歌い手さんが実際に歌唱している画(え)を想像したものを描いていきます。例えば、踊りながら歌うアイドルグループ、スタンドマイクを高めにセットしてギターをかき鳴らしながら歌うシンガー、観客と振りを共有して盛り上がるアーティスト、それぞれの状況を想像しながらスケッチを描いていきます。つまりは音源を聴いた時の聴覚的なスケッチと、ライブ、MVを想定した視覚的なスケッチを同時に描いていくのです。一見難しそうに見えるこの作業ですが、実は二方向から吟味し決定するため、具体的な画を描く早道だと思っています。

さて、今回のケースに当てはめてみますと、まず1ですが、これはすでに映像作品とリンクしており、歌詞も完成された世界観、テーマがありましたのでそれに沿っていくという比較的楽な作業となりました。(具体的には書けませんが・・・)
そして2に関しましては、ネット上で活躍されている方で、すでにMVも発表されていたことからなんとなくの方向性は自然と決まってきました。若者に大変支持されている女性アーティストでしたが、今回の曲は少々ノスタルジーを感じたこともあり、演奏は少し大人な雰囲気を出そうを決めました。
音を詰め込むのではなく、間を活かした大人のロック。そんな大きなイメージを描きつつ、次回はいよいよ音を積み上げていきます。(この時点ではまだDAWには手をつけていません。)

この調子でいくと一曲完成するまでに一冊の本になるんじゃないかと思い始めましたが、実作業編はまだまだ続きます。

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安岡洋一郎

歌録りのうまさは折り紙付きで、生楽器系からダンス系迄ポップス全般対応可能な経験豊富のベース系作曲・編曲家

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