今回はゲーム収録楽曲の案件で、バンドの方向性はスカロック。自分の世代的にスカバンドは流行っていたので、曲の感覚は体に入っている分、取り掛かるのに腰は重くなかったです。
普段は下調べや準備などでまとまった時間が必要なので、最初の一歩のハードルが高かったりしますが、その時間が必要無い分すぐに組み立てに入ることができました。ただ、今回に関してはバンドにとって変わり種曲で、クラシック曲のモチーフを入れるという指定があり、自分の中の作曲の定型文に当てはめて制作できないので、ここで躓く事になりました。さらに、普段並行しているギタリストの仕事で、RECやツアーのリハーサルががっつり入っていたので、締め切りまでの日数を考えるとクオリティを維持できないと判断し、楽曲の基盤は過去に作ったストックからリメイクすることにしました。普段から作曲家として、芯になるメロディ部分には特にこだわっており、そこさえしっかりしていれば、例えば全く違うジャンルにリメイクしても、楽曲のクオリティは維持されます。つまり素材がよければどんな料理になってもおいしくなる感覚です。
今回は、過去の曲でサビのメロ感が今回のバンドに合うようなしっかりしたメロのものをチョイスし、A、Bを新たに付け直す手法で進め、Bメロにわかりやすいクラシックの楽曲のメロディを入れ込みました。この時点で締め切りが迫っているため、仮歌の手配も同時に進めています。どうしても予定通りに進められないことも多いので、仮歌の手配のタイミングはとても難しいのですが、それに対応して頂けて、尚かつクオリティの高いシンガーの方との繋がりはとても大事です。ある程度メロディが固まった時点でシンガーの方に資料をお送りし、自宅で時間が取れなくても、他の仕事の合間や移動中に隙を見てアレンジを進めていきます。そして自宅にいるタイミングで、一気にまとめてミックスをします。完成してすぐだと、曲の悪い部分に慣れてしまい気づかない部分があるため、少し楽曲を寝かせる必要があり、就寝前に作業を終わらせて、起床後最終確認してなんとか提出しました。
個人的には、自宅でひっきりなしに作曲だけをして生活できれば良いと思う時期もありましたが、外に出たり違う側面から音楽をインプットすることが、自分の楽曲の世界観をさらに広げてくれるため、良いバランスをとりながら、尚かつもっとペースを上げられるよう、作業部分と芸術部分のバランスを取っていきたいと思っています。