最近よくある案件の一つとして、海外作家の書いた楽曲への歌詞制作依頼というものがある。送られてくる音源も、通常の作詞用に送られてくるシンセメロのデモではなく、英語の歌が入ったものが送られてくる。それを聴きながら作詞するわけだが、毎回悩まされることがある。それは「日本語を乗せた時のノッペリ感」である。曲のドライブ感みたいなものが、日本語を乗せるとどうしても半減してしまうのだ。
日本語というのは「ん」を除いて、必ず「子音+母音」という構成で成り立っているので、基本原則としては、一音に対しこの「子音+母音」で一つ、という構成になる。しかし英語の場合は違って、一つの言葉のまとまりに「子音」がいくつも入って1シラブルになっている。言語の特性を考えれば当然なのだが、これで曲のドライブ感というものはかなり変わってくる。
「英語も可」のアーティストさんの場合には、英語を使った方がいいところでは英語を使うことでこの悩みは多少なりとも解決するのだが、時には「全部日本語でお願いします」という発注がある。今回の案件がそれである。
ドライブ感をあまり消さずに書くための方法、みたいなものを色々と鍛えられる良い機会になったのだが、結局、担当者さんと「こういう方向性の言葉でも一度書いてみてもらえますか?」等のやりとりを、計5〜6回はしただろうか。かなり試行錯誤を繰り返すことになった。この手の案件は増えてくると思うので、今後の一つの課題として、一度で正解を撃ち抜けるような自分なりの技術を習得していかなければと思う。